生きもの調査
メダカのがっこうでは、これまで、いのちあふれる田んぼでお米づくりをしてくれている農家さんたちを支えることを中心に、さまざまな活動を展開してきました。これからはもう一歩前進して「仮想鎖国計画」を進め、私たちの日々の暮らしの自給率をアップしていきたいと思います。
食料自給率が低い日本のお手本はキューバにある!
農水省の自給率ソフトによると、小麦粉24%、卵11%、しょう油0%、一般の日本人の食事がいかに自給率が低いかが分かります。外国から石油や食糧が入ってこなくなったら、どうなってしまうのでしょうか? 鉄鉱石も石油もない国なので、農業機械、輸送車、燃料などは自給できず、厳密に考えると、輸送を石油に頼るメダカのがっこうのお米さえ自給率 100%とはいえません。
キューバという国もかつて、そうでした。ソ連崩壊と同時にアメリカの経済封鎖を受けはじめた頃のキューバの食糧自給率は40%、今の日本と同じくらいです。石油が入ってこなくなり、化学肥料や農薬が作れないので、環境のためではなく、生きるために有機農業に切り替えざるを得なくなりました。日本の戦後のように、国会議事堂の前まで畑にし、土という土を活用し、都市農業をすすめました。エネルギーも当然ないので、馬車、自転車、風力、太陽電池などの自然エネルギーに、医薬品も作れないので、ハーブ療法などの自然医療や、東洋医療に切り替えました。
いまや、キューバの食料自給率は100%に近く、何よりも、国全体の判断基準が「いのちの視点」へと移っていったので、自然と調和した循環型の社会が築かれていったのです。その国で手に入るものだけで生きていこうとしたら、否応無く人と自然が一つになり、判断基準が限りなく「いのちの視点」に近づくのですね。
経済優先のものさしから、自給自足のものさしに切り替えよう!
日本でも、経済優先のものさしが、自給自足のものさしに切り替われば、いのちの視点がよみがえるにちがいありません。経済封鎖を受けているわけではないけれど、遠くから来るものに頼るのでなく身近にあるもので生きていく工夫をしてみようというアイデアが「仮想鎖国計画」です。その中で、食料やエネルギーをなるべく自前でまかなう方向で、楽しみながら暮らしを変えていく「自給自足ゲーム」をはじめませんか? まずは、自分の口に入る食べものを選ぶところから! これが、メダカのがっこうの提案です。そして、この提案を具体的な形で示すために、いろいろなことをしています。
おむすび茶屋では、仲間の農家が農薬や化学肥料を使わずに育てた米でつくたおむすびを出しています。みなさまのおかげでこの1年間で、佐渡、大田原、香取、郡山の4ヵ所で、あわせて1町1反(1.1ヘクタール)の生きものいっぱいの田んぼを支えることができました。おかずには仲間が露地栽培でつくった旬の野菜を、日本の自然海塩や仲間の技術で作った調味料を使って調理して出しています。ほとんどの料理が自給率100%に近いといえると思います。
こうした考えをより目に見える形にするために、おむすび茶屋のお向かいに「自給自足屋」もオープンしました。ここではそのメニューがどれくらいの自給度を達成できているかが分かるようにすることをめざしています。秋田県比内地方の仲間を通じて食材を入れていますが、冷蔵や冷凍に頼らず、塩蔵、発酵食品にして食べ物を保存してきた知恵に学ぶものがたくさんあります。
また、ときどき料理教室をひらくなどして「野草料理」も推進しています。自力でいのちをつないでいく、たくましい生命力をもった野草には、自給自足の力があるからです。今年は野草料理の本も出しました。畑をすることのできない都会の人でも、季節の野草に目を向け、旬の力をいただくことができるとは、希望のもてることではないでしょうか。
消費だけに徹することなく、作れるものは出来るだけ手づくりしましょう。そして外食したり、買わなければならないものも、それが日本の自然を壊すようにして生まれたのか、自然を再生するいのちの視点で生まれて来たのかを吟味し、選ぶようにしましょう。環境を再生する力のある「いのちの田んぼ」でできたお米を家庭で使うことも、「できること」のひとつです。
自給度があがると、
自分の信ずるところを行う自由を手に入れられる。
そんな風にして暮らしを見つめ直し、「自給度」が上がってくると、なによりいいことは「心が自由になる」ということです。自分ではどうしようもない巨大な力に依存しなければ生きられないと思えば、心細い気もちがしますが、食料やエネルギーを自分でつくれたり信頼する仲間うちでまかなえたりできれば「自分の信ずるところを行う自由」や「安心感」がでてきます。一人ひとりが食糧自給率を上げていくことが、生きる自信やよろこびにもつながるのです。
「生きるのに重要な部分は人任せにしない」これが大事です! 外圧に弱いこの国はいまのところ、エネルギーも食糧も飼料も塩も、自給を目指さしそうにはありません。それだったらなおのこと、私たち一人ひとりが賢くなって、自給率を上げていきましょう。そして、生き物も、作物も、それをつくる人も食べる人も元気になれるような、すばらしい未来をつくっていきましょう。


